WORDS / MEMORY / EVERYDAY LIFE
武岡 隆ブログ
本、活字、日本語、物語、記憶、時間。日々の中でふと立ち止まったことを、武岡 隆自身の言葉で静かに綴ります。
まだ名乗っていない人物を、地の文はどう呼ぶか
名前が明かされる前の人物を「男」「客」「背の高い人」のどれで示すか。同じ人物でも、最初の呼び名によって、語り手が知っている範囲と読者が見る位置は変わる。
続きを読むAIの要約に残らなかった一文を読む
創作中の文章とAIの要約を比べると、筋立てには必要のない仕草や景色が落ちていることがある。その一文が何を説明していたかではなく、抜けたことで前後の読み方がどう変わったかを見てみる。
続きを読む「さようなら」に残る、「そうであるなら」という別れの条件
別れの挨拶である「さようなら」は、「左様ならば」に由来するとされる。もともと別れそのものを示していなかった条件の表現が、なぜ別れの言葉として通じるようになったのか。その省略された先…
続きを読むAIに同じ物語の続きを三通り書かせる
AIが生成した三つの続きを完成稿の候補として採点するのではなく、最初に展開が分かれた箇所を比べる。そこには、元の文章がまだ決めていなかったことが表れている。
続きを読む物語の外にあるページ番号を読む
ページ番号は、物語の出来事には加わらない。その一方で読者の現在地を示し、気になった箇所へ戻り、誰かと同じ一節を確かめるときに働いている。
続きを読む見本誌の「あ-12」から、売り手の机へたどる
見本誌コーナーでは、本が出店者の机を離れて並んでいる。そこでラベルのブース番号は、気になった一冊を会場内の売り手へ戻す、開催中だけの住所として働く。
続きを読む同じ最後のページでも、「読み終える」と「読み切る」
「読み終える」と「読み切る」は、どちらも本を最後まで読むことを表せる。それでも、前者は読書が終わった地点へ、後者はそこまでに通ってきた全ページへ目を向けさせる。
続きを読む著者と発行者が同じ名前になる本
文学フリマで頒布される自主制作本の奥付では、著者と発行者に同じ名前が記されることがある。一人が担った書く仕事と本を出す仕事は、二つの欄によって分けて示される。
続きを読む増刷を考えるとき、在庫は「冊数」だけでは見ない
同じ五十冊でも、一日に一冊ずつ減る本と、まとまった注文が入る本では、品切れまでの余裕が違う。増刷の判断に必要なのは、残数とともに、その本が動く速さと補充にかかる時間を見ることである…
続きを読む引用の内側で、かぎ括弧は二重になる
発言の中に別の発言が入るとき、内側の括弧は『』へ形を変える。その違いは言葉の種類ではなく、いま読んでいる言葉が引用の何層目にあるかを示している。
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