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武岡 隆ブログ


WORDS / MEMORY / EVERYDAY LIFE

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本、活字、日本語、物語、記憶、時間。日々の中でふと立ち止まったことを、武岡 隆自身の言葉で静かに綴ります。

原稿ファイルの「最終」は、いつまで最終か

原稿ファイルについた「最終」という二文字は、思ったほど長くもたない。送る時点では最終だったはずなのに、一か所直せば新しいファイルができる。すると先ほどまでの最終は、内容を変えないまま最終ではなくなる。

古いファイルを消さずに残すなら、次は「最終2」になるかもしれない。「最終修正版」「最終確定」「本当の最終」と続くことも考えられる。呼び名が強くなるほど確かに見えるが、どれが新しいのかはかえって分かりにくい。

「本当の」と書かれたあとにも修正は起こりうるからである。気になるのは、「最終」が内容の状態ではなく、名づけた人の判断を表している点だ。その瞬間には、もう直さないつもりだった。

その判断自体が間違いとは限らない。ただ、原稿は別の人が読めば修正点が見つかり、確認の段階が変われば差し替えも起きる。「最終」はファイルの中に固定された性質ではなく、その時点での予定に近い。

原稿名だけのファイルなら、中身が何であるかは分かる。そこに「最終」を加えれば、作成者のつもりも伝わる。しかし受け取る側が知りたいのは、つもりよりも順序と確認状況ではないか。

どれが後に作られ、誰かの確認を待っているのか。それが一覧の段階で読めれば、ファイルを一つずつ開いて確かめる手間は減る。たとえば「原稿名_日付_v03_確認待ち」のように、日付、版の番号、現在の状態を分けて記す方法がある。

日付はいつの更新かを示し、v03は同じ案件の中での順番を示す。「確認待ち」は、そのファイルが完成品なのか、まだ返答を待つものなのかを伝える。

それぞれの役目が違うため、一語に全部を背負わせずに済む。日付だけでは、同じ日に複数回直したときに区別しにくい。版の番号だけでは、それが確認前なのか確認後なのかまでは分からない。

反対に「確認済」だけでは、前の確認済ファイルとの差が見えない。ファイル名が長くなりすぎない範囲で、順序と状態を別々に置く方が扱いやすい。もちろん、どんな原稿にも同じ形式が必要なわけではない。

一人で書き、途中の版を残さないなら、細かな番号は余計にもなる。ファイル名の付け方は、整理の立派さを競うものではない。受け渡しに参加する人が増え、修正と確認が往復するときに、必要な情報が変わってくる。

私はファイル名を、内容そのものの題名というより、受け渡しのための小さな札として考えるのがよいと思う。札には原稿の価値や完成度まで書かなくてよい。

荷物を取り違えないための表示と同じで、今どの段階にあり、どれが次に見るべきものかが分かれば役目を果たす。「最終」という名には、仕事をここで閉じたい気持ちが入りやすい。

それに対して「v03」や「確認待ち」は、閉じることを宣言しない。少し事務的ではあるが、次に何が起きても名前と実態が食い違いにくい。修正が入ればv04になり、確認へ回せば状態の部分が変わる。

そして確認が済んだなら、そのファイルには「確認済」と書ける。それは先のことまで保証する大きな言葉ではなく、どこまで作業が進んだかを示す札である。

「最終」より控えめだが、受け取った人が次に何をすればよいかは、こちらの方が読み取りやすい。

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